石油のある国は強い。
それは中東の国々が代表格であるが、ASEANの中にも石油が豊富に取れる国がある。
平均所得19万円。
ASEANではシンガポールに次いで高い水準とのこと。
国民一人当たりのGDPは日本を上回る。
その国は…教育も医療もほぼ無料のブルネイ!
もしブルネイに行く機会があれば、足を伸ばして油田へもどうぞ!
ブルネイ・ダルサラーム?
ブルネイ最大のモスク(以下、このページの写真は全て吉野撮影)
正式名称はブルネイ・ダルサラーム国。
マレーシアとインドネシアの領土もある、ボルネオ島にある小さな国。
国土は三重県と同じくらいだが、国土の6割は熱帯雨林。
人口42万人のうち、5万人は水上生活をしているという側面も。
イスラム教の国であり、中心部には大きなモスクが!
また、僕が行った金曜は、イスラム教の集団礼拝の日であり、11:00〜14:00はどこもかしこもお休みでした。
マレーシアやインドネシアよりも宗教を大事にする人が多いみたい。
ブルネイの石油は?
この石油は日本も第二次世界大戦中にお世話になっていたらしい。
当時イギリスが統治していたものを退き、1942年から終戦まで日本領だった。
(この基礎知識も知ったのはこの国に来てから。何も知らずに来て恥ずかしいのと、現地の人々は日本のことをどう思うのか気になりつつも、聞けずじまいだった自分に後悔)
現在のブルネイの天然資源の輸出先は韓国、インドネシア、インド、オーストラリアなど近郊の国を中心に多数ある。
際立って多い国はなく、分散輸出することでリスクヘッジしていると思われる。
日本も輸出先の一つだ。(参考文献)
自分がこの秋に中東行きを考えていることもあり、「石油」というワードに強く惹かれる…
ということで、石油を目的にブルネイへ!
(ブルネイ訪問で、ASEANの全加盟国を制覇です!)
素人が油田に行けるのか?
セリア油田があるというセリアのバスターミナル(吉野撮影)
内陸部に「セリア油田」という油田があるらしい。
「セリア」は地名らしく、セリア行きのバスは空港から市内のバスターミナル(BSB)から出ているとのこと。
空港から市内へのバスも発着している、このバスターミナルの人に聞いてみると、丁寧に教えてくれた。
バスは30~1時間おきくらいに出ており、2時間で目的地に着く。
目的地近くになって、それっぽい施設が車窓から見えた。
しかし、到着してからも特に客引きのタクシーなどに声をかけられるわけでもなく、静かな田舎町という印象。
泊まっていたタクシー運転手に自ら声をかけ、目的を伝えて、街を回ってもらうことにした。
結論を言えば…素人でも1人で油田に行けます!
ブルネイの油田はShellが鍵を握る?
タクシーの車窓から見えた石油タンク(吉野撮影)
待ち望んだ石油施設の数々!
その多くに「Shell」のマークが!
日本でも見たことあるが、調べてみるとオランダの会社らしい。
ヨーロッパ最大のエネルギーエネルギーグループで、グループ企業は145カ国に広がるとのこと。
1929年にブルネイ政府とShellが折半出資して会社を建て、生産体制を作っている。
というのも、Shellは1913年にはブルネイに参入していたらしい。
ちなみに日本のShellのライセンスは昭和シェルが持っていたらしく、その昭和シェルは出光興産と合併。
エネルギーは身近なのにエネルギー会社は生活から遠いからか、無関心になってしまうなと日本の時事にも関心を寄せる。
さて、タンクの近くには製油所!
タクシーの運転手はセリア生まれ、セリア育ち。
特に製油所や石油関連で不満を感じたことはないらしく、強いていえば、この煙が身体に悪いかもなぁと言っていた。
そして、海岸から製油所へは、このようなパイプが引いてある。
中身はもしや、石油か?
これ、普通に触れるし、テロとか盗難とかのトラブルはないだろうか?
一応、素人の僕が調べたところ、ブルネイで石油目的のテロは起きていないようだ。
街のいたるところに、こう言った石油を採掘する機会があり、これも頑張れば触れるほどの距離。
石油ってもっと厳重に保護されていると思ったけど、良いのだろうか…
また、具体的な根拠などが分からないが、いくつかのメディアで「ブルネイの石油は20年で枯渇すると言われている」とあった。
もしそれが事実であれば、それを見越して他の産業の育成が必須である。
油田を守る軍隊はイギリス兵とネパール兵?
こちらはイギリス兵が駐在しているエリア。
そして、「グルカ」もいると言ってたけど…本当かな?
グルカとはネパール兵のこと。
調べてみると日本の外務省のページに確かに、英国グルカ兵がブルネイに駐在していると記載が。
山岳戦に強く、グルカ兵は徴兵でも志願制でもなく、イギリスのスカウト部隊なるものが山岳地帯を巡ってスカウトしてくるとか(wikipediaより…本当かな…)
他にも1997年までは香港にも駐屯しており、今もマレーシア、インド、シンガポールの軍隊・警察にも雇用されているらしい。
なぜこの辺りにグルカが駐在しているのかは調べてもよく分からないが、ブルネイがイギリス連邦国の1つだから不思議ではない。
タクシーの運転手が教えてくれたのは、こちらはラジオの看板。
この辺りはイギリス兵がいるから、イギリスのラジオが聴けると言っていた。
他の地域では聴けないの?と尋ねたが、この地域だけらしい。
今は衛星放送やネットを介したテレビがあるので、海外駐在でも画面の上での娯楽は不自由なくなってきているが、昔は重宝されていたのかもしれない。
セリアには石油に関連した博物館もあるのだが、リニューアル中とのことで来年まで入れない。
入りたかったが、残念。
油田訪問のまとめ
10億バレルの石油採掘を記念したモニュメント
油田というと非常に厳重で、関連施設にも近づけないと思っていたが、割とすぐにアクセスできたのが意外であった。
北海道の牧場に行ったら牛がいたみたいな感じで、少し足を伸ばしてセリアに行けば石油採掘の器械が普通にある。
街並みや人々の生活に溶け込んでおり、違和感はなかった。
また、この油田があることで経済や国が保たれているのは、地域的な不平等を肌でも感じた。
資源がなくて必死で頑張っている国々もあるのになぁ…
他のASEAN諸国よりも人々が努力している様子や、工夫があるわけではなく、圧倒的な石油のモノカルチャーである。
おそらく中東の諸国も同じような状況で、枯渇する可能性があり、かつ再生可能エネルギーなどによって石油への依存度も減る中で、これからどのような方針を決めるかが明暗を分ける。
石油が枯渇するor必要なくなった世の中で困るのは、今、石油で美味しい思いをしている国々だ。
その際に急激な貧困で困らぬよう、僕にできることを探りたい。
そんなことを考える、ブルネイの滞在でした。