※著者が大学生の時(2020年5月)に執筆した記事です。情報は当時のものです。
東南アジア最後の独立国「東ティモール民主共和国」。
独立したのは2002年と歴史は浅く、オリンピックのメダリストはまだいない。
実は私にとっても東南アジアで唯一の未踏の地が東ティモールで常々、訪れたいと思っていた。実際、現地に行くと情報不足で困ったので、観光や旅情報を中心に、現地での学びも記しておこうと思う。
■目次
東ティモールとは?
ティモール島の東側が東ティモールである。
西側(西ティモール)はインドネシアであり、独立前はインドネシアが実質的に支配してた。1942年からは日本が占領していた時代もある。
第二次世界大戦終了後に西ティモールはインドネシアの一部として独立するが、東ティモールはポルトガル領のままだった。
1974年にポルトガル本国の政権崩壊により、東ティモールは1975年に独立宣言。しかし、インドネシアに軍事侵攻されて、併合されることになる。(人口の3分の1が殺されたという話も…)
1991年にはデモに対して、インドネシア軍が無差別乱射、多くの死者が出た。サンタクルス墓地が舞台となったので「サンタクルス事件」と呼ばれ、サンタクルス墓地には市内から足を運ぶこともできる。
1999年の国民投票で独立が決まり、2002年に正式に独立。日本もPKOで支援に入る。
しかし、その後も政府は落ち着くことが少なく、最近では2017年に8ヶ月間も無政府状態だったらしい。
首都4都県とほぼ同じ大きさで、人口は120万人(広島市)くらい。
流通通貨はUSドルで、センタボという補助通貨がある。
首都はディリだが、規模はとても小さい。(ラオスのビエンチャンよりも広いが、高い建物は少なく第二の都市などがない。)
東ティモールへの行き方
フライトだとインドネシアのバリ経由で向かうことになる。
陸路だとティモール島の西側・クパンから陸路で向かうこともできる。
ビザは陸路もフライトもアライバルで取得できる。
フライトの場合、ディリからオーストラリア・ダーウィンへのフライトも安そうだった。
クパンから向かう場合は、別途、「通行許可証」をクパンにある東ティモール大使館で取得する(無料)必要なので時間がかかる。
私はクパンからの陸路にて挑戦をした。写真はその際の国境越えバス。
詳しくはこちらの記事から。
首都ディリに関して
移動手段
この「ミクロレット」という乗り合いのミニバンで移動する。公共交通手段はこれのみ。タクシーはあり、トゥクトゥクなどはない。
番号によって行き先が決められており、事前に往路と復路の番号を把握してから出歩くと便利。
規模が小さいとはいえ、徒歩のみで観光するのは厳しい。
現地情報は地球の歩き方等もないため、ネットが中心となる。その中で、JICAの機関紙が非常に参考になった。ミクロネットの路線図もこちらの機関紙にある。
現地の人もよく利用している移動手段で、0.25$だった。これでもかというくらいに人が乗り込む。
食事
食事はローカル食堂であれば、3$以下でお腹いっぱい食べれる。
お米の上に自分で選んだおかずを乗せる形式が多い。お勧めできる食事には出会わなかった。
ビール等のお酒も売店やスーパーで入手でき、1$しない程度だった。
物価
食堂やミクロネットなどのローカルな場所では、ぼったくりに出会うことはなく適正価格だった。宿や海外の商品・食材など観光・外資系はかなり高く、ローカルであれば基本的には他の東南アジア諸国と物価は同じ印象だ。
貧乏旅ではなく一般的なパッケージツアーのような清潔さを求める場合、東南アジアではシンガポールと同じくらいの価格帯だと思うのが良いだろう。
治安・国民性
治安は悪くはない。しかし、街灯が少ないので夜間の外出は避けたい。街を歩く外国人の姿は見なかった。(車に乗ってる人はみかけた)
優しい人が多くて道を聞けば力にはなってくれるが、英語が通じないので苦しい場面も多い。
東南アジアでは頻繁に目にする中華系の看板があまりない。しかし、最も大きい通りを「中国通り」というらしく、この国も中国の支援に依存していくことになるのだろうか…
ディリの観光
ディリを観光で訪れる人はダイビングが目的の人が多いかもしれない。
西欧人が運営するバックパッカー宿とダイビングスクールを兼ねた店に宿泊をした。
現地人も「もっと余裕があるなら、地方の島に行くととっても綺麗だよ」と教えてくれた。
タイスマーケット
東ティモールの特産品の1つが伝統的な織物の「タイス」である。
そのタイスがずらっと並ぶのがタイスマーケット。
タイスの他にもTシャツや雑貨が並んでいた。食料品以外のお土産を買う際は、タイスマーケットが良いと思う。
しかし、値段は他のアジア諸国のお土産相場と比べると高め。観光客は少ないのでゆっくり見れる。客引きも強くない。
東ティモール抵抗運動博物館
東ティモールの歴史がわかる。ポルトガル語が中心で英語は補助表記なので、やや見にくい。
動画や写真、模型などでも展示してあるため英語が分からなくても一見の価値あり。
1US$で入場できる。エアコンが効いている。
英語の話せる優しいおじさんが案内してくれて、これはチップ求められるやつだなぁと覚悟していたけど、求められなかった。(しかし、FBの交換を求められ、郊外ツアーやマッサージの勧誘は受けた。)現地の方との交流は自己判断で。
Immaculate Conception Cathedral
アジア最大級の教会とのこと。
入場無料で入れる。公園が広くて気持ちが良いが、内装等で特色があるようには思えなかった。
タイスマーケットから徒歩圏内。ついでに足を延ばすのは良いかも。
東ティモールは99%がカトリック。
国境を面したインドネシア・西ティモールはアザーンが聞こえたりとイスラム教が強かったので興味深い。
Areia Branca beach and hinterland
東ティモールは海が綺麗。
クリスト・レイへ向かう途中に綺麗な海岸を見ることができる。
現地の方が泳いでいる姿も見られ、僕も泳いできた!
着替える場所はない。売店等もないため、事前に各種準備を整えてくることが必要。
正直、バリの中心部より海は綺麗。
クリスト・レイ(Cristo Rei)
世界で2番目に大きいキリスト像らしい。最も大きいのはブラジル・リオにある。
眺めも綺麗だったが、手入れされていない木々が邪魔で写真等を取るには適していなかった。
観光客が少なく、現地のカップルと仲良しに。
僕も写真を撮ってもらったけど、クリストレイが映ってなかったので、私が現地で仲良くなった知人の写真。
二人とも大学生で女性は英語が話せ、男性は日本語学科で自己紹介等の基礎的な言葉が話せたので面白かった。
ティモールプラザ
ディリ最大のショッピングモールと思われる。韓国食材やはあるが、中華系・日系のお店はなかった。かつてはビアードパパが入っていたというが、聞いたところ誰も知らなかった。
情報はやや古いが、東ティモールの日系企業の進出情報はこちら(NNA)
ティモールプラザのオフィスフロアにはUSAIDがあり、また近くに日本のJICA事務所がある。
オフィスビルも多くないので、大使館のように一戸建てで作らない限りは、ここに集中しそうである。
宿情報
僕が宿泊したTimor Backpackersはこちら。maps.meの位置とずれており、迷子になった。日本大使館の近く。
バックパッカー街などはないため、事前に予約することを推奨。
ここ以外の宿の値段は高く、ドミトリーでも1泊2000円はする。
この宿は4人ドミが2部屋で、トイレシャワーが1つと不便ではあったが、街の状況と比較すれば快適である。wi-fiは調べ物やSNSには問題がない。
お土産はコーヒーか?
東ティモールの特産品の1つがコーヒーである。
街中でコーヒーショップを見かけることは少ないが、コーヒーの匂いがしたら入ってみよう!
焙煎したてのコーヒーをいただきました!
市内から空港へ向かい、空港を通り過ぎて大通りをまっすぐ進んだところの右手に、いくつかコーヒーのローカルな焙煎所がありました。熱気でなんだか納豆みたいな匂いがしました苦笑
最後にお土産をこちらで調達しても良いかもしれません。
旅のコツ
街中や施設にWiFiがないことが多い。お洒落なカフェなのにないことも。
でも、バーガーキングはあるので困ったらバーキンへ!
両替所はほとんどなく、事前にドルを換金して持っていくことを推奨です。
英語よりポルトガル語
ポルトガルの旧植民地ということもあり、英語よりもポルトガル語の方が通じる。
iPhoneのメモ帳にメモが残っていたので、ここに記します。
どこかのサイトからメモしたと思うのですが、サイトを忘れてしまいました。
【基本編】
ありがとう Obrigado/a (オブリガード/ダ)
おはよう Bom dia (ボンディーア)
こんにちは Boa tarde (ボアタルデ)
こんばんは Boa noite (ボノイティ)
お元気ですか? Diak ka lae? (ディア カ ラエ)
元気です Hau Diak (ハウ ディアック)
【観光編】
いくらですか? Nee folin hira? (ネー フォリン ヒラ)
〜へ行きたいです。 Hau hakarak ba~(ハウ ハカラック バー 〜)
~はどこですか? ~ iha neebe? (~ イハ ネベエ)
吉野が思う東ティモールの課題と今後。
1日2ドル未満で暮らす貧困層は77万人と推定されており、国民の過半数を占めている(アジア開発銀行)という。後発発展途上国に分類される。
今は石油の輸出でどうにかなっている側面もあるが、枯渇するという話もある。
石油を脱却した産業の育成が必須である。
人口も多くなく、国土も狭いため、シンガポールやルワンダ型の戦略(IT特化、地域のヘッドオフィス誘致)を取れるのが良いが…シンガポールも近く難しい。フィリピンのようなオンライン英会話やコールセンターも、ポルトガル語では需要は大きく見込めない。
バリ・プーケットに次ぐアジアのリゾート地としての売り出しも有効だろうが、航空便の乗り継ぎの弁が悪く、空港のインフラも整備が必要だ。これは計画して進めたいが、時間がかかるだろう。
立地が悪い島国だが観光化に成功している例として、モルディブが参考になるかもしれない。
大陸に比べると島国のため輸出入にコストがかかるが、相手国を自由に選べる利点がある。
即効性のある施策としては、主力のコーヒー等の第一次産業を先進国向けにブランディングして高く売れるようになるのが望ましい。
あとは、カンボジアの胡椒のようなコーヒー以外の特産品(果物のように保存が難しくないもの)があると良いが…インドネシアと同じ緯度なので発見しても規模の力で奪われてしまいそうだしなぁ…
国家として今後、どのような政策を仕掛けていくのかが楽しみである。
まとめ
こちらは首都・ディリの国際空港で、左は出国用、右は入国用の出入り口。
ここまで規模が小さく、簡素な作りの空港は初めてだった。国際線なのにカウンターは4つしかなく、稼働しているのは2つのみ。イミグレの窓口も4つで、同じく稼働は2つ。
空港の中はwi-fiが繋がらず、売店等もほとんどないので、空港の隣のバーガーキングで時間を潰すことをお勧めします。
まだまだ独立してからの歴史が浅い東ティモール。
今後のこの国の動向に注目です!
※3月前半の滞在で当時はコロナウイルスの感染者数は0人、私がその前に滞在していたクパンも0人であった。ちなみに、5月17日現在の東ティモールの感染者数は24名で、うち20名が回復済み。