日本のタコの最大輸入国「モーリタニア」だが、どのような国なのかイメージがしくい国ではないだろうか?
ちなみにタコを日本が最も多く輸入しているのが、ここモーリタニアである。
それは中学生の時に地理で習って、なぜか猛烈に覚えている。
さて、実際、地球の歩き方をはじめとするガイドブックで「モーリタニア」を扱っているものはない。
誰が検索してくれるのか分からないが、実際に行ってみてきたことをもとに、どんな国・地域なのかを紹介したい。
■目次
モーリタニアとは
西アフリカにあり、正式名称は「モーリタニア・イスラーム共和国」である。
国土は103㎢(外務省)で日本の2.7倍。
人口は430万人(2016年世銀)で、日本の都道府県だと福岡県が約500万人で近い。
共和制の国であり、大統領がいる。
イスラム教の国はモロッコ、ヨルダンなど君主制(絶対君主制や立憲君主制)が多い印象だが、調べてみるとイスラム教で共和制の国は5カ国しかないらしい。(他にイラン、アフガニスタン、ガンビア、パキスタン)
モーリタニアに関するwikipediaの情報は非常に詳しく、読み応えがあるので、よければこちらも読んでみてほしい。(モーリタニアのwikipedia)
細かい数字や背景はwikipediaに任せて、このブログは僕の体験を中心にモーリタニアを紹介していく。
国土の90%で砂漠!?
実際に行ってみると都市と都市の間の道はほとんど砂漠であった。
都市の中も砂埃が非常に多く、歩道も砂が多いので歩きにくい。
写真に写っているのは通称・「アイアン鉄道」こと「モーリタニア鉄道」で、210両・3kmにも及ぶ。
内陸部で採れる鉄鉱石を港町・ヌアティブに運ぶために710kmの距離を運行している。
そのため、ヌアティブから内陸部に向かう際は、鉄鉱石を積んでいないので空の車両となる。
そこに乗り込んで移動をするアクティビティーが、バックパッカーの間で流行っていたりする。
ヌアクショットで知り合ったスペイン人も、セネガルで知り合った中国人も、日本人の旅人も、みんなアイアン鉄道に挑戦をしていた。ただ、砂漠であるため夜は気温が低く、鉄鉱石のススがついたり、屋根などはないので砂埃がひどく厳しい道のりになるそうだ。(僕は乗車も多少は検討したが、諦めた)
首都・ヌアクショット
モーリタニア最大の都市であり、首都のヌアクショット。
バスや鉄道といったインフラや、近代的なショッピングモールはまだない。
人口が多く、市場なども賑わっているが、まだまだこれからの国であるという印象だ。
しかし、写真から分かるように電線は見当たらない。
おそらく地中に埋まっているのだと思う。
ベトナムやタイを代表例に、たくさんの電線は景観を悪くするため、その点は進んでいると言える。
走っている車は旧式のものが多く、先進国から輸入した古い中古車と推測される。
2つの大きく有名なモスクがあるが、1つはモロッコが建設し、もう1つはサウジアラビアが建設したものだという。
国名にもある通り、イスラム教徒が多い国である。
移動中もお祈りの時間に停車し、みんながメッカに向かってお祈りをしていたのが印象的であった。
また、ここヌアクショットも第二の都市・ヌアティブも日本の支援で港の再開発が行われ、その影響で漁業が非常に賑わっている。
その際の活躍で、国家功労賞を授与された日本人もいるそうだ。
第二の都市・ヌアティブ
第二の都市と言われ、その名の通りにヌアクショットの次に栄えているヌアティブ。
こちらも港町である。国土の多くが砂漠であることもあり、基本的に海岸沿いが栄えるのだろう。
ヌアクショットもヌアディブも夜でも大通りは歩くことができ、治安が悪い印象はなかった。
西サハラから入ってくる際の入り口でもある。
中華レストランがあったりと、中国系の進出は伺えたが、日本や韓国の進出は見当たらなかった。
この半島の半分は「西サハラ」であり、この領域に関してはモロッコではなく、「サハラ・アラブ民主共和国」が統治している。(詳しくは→西サハラ問題を考える。〜ここはサハラ・アラブ民主共和国?それともモロッコ?〜)
モーリタニアは旅行に適するか?
実は世界遺産がある!?
「ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスール」という名前の世界遺産がある。
イスラム教の第7の巡礼の聖地らしいが、砂漠化の影響で保存の危機にあるとのこと。
先ほど紹介したアイアン鉄道に乗ると、内陸部にある「シンゲッティ」の近くまでいくことができる。
そこには歴史的な古書が保管されており、旅行客が訪れているらしい。
ただし、ヌアティブからの道は車やバスでの移動はできないため、鉄道移動となる。
もしくは首都・ヌアクショットからバスで8時間ほどかけて移動することになる。
また、「テルジ」というオアシスが有名である。値段が張るが、ガチなオアシスを体験できるらしい。
他にも宇宙からしか見えない「シュリット構造」という地形が有名であるが、ここにいったことのある人に会ったことはない。
旅行に適するか?
僕はモーリタニアほど観光に適さない国は、今までで初めてである。(過去45カ国訪問)
モーリタニア全体への観光は、イスラム教に関して極めて関心が高かったり、砂漠地帯の観光を求めている人には良いと思う。世界遺産に関しても、宿泊施設や道中がかなりハードなので、ベテランのバックパッカーでないと厳しい印象だ。
また、もともと外国人観光客が少ないからか、booking.com等のホテル予約サイトは全然使えない。
町歩きで遭遇するホテルは値段が高く、誰かが書いてくれたブログで安宿を探すことになるが、環境は良くない。(WiFiがない、虫が多い、それなのに値段が高い…)
モーリタニアの面白さ
そんなモーリタニアだが、あえて面白さを探して紹介したい。
ロバとの共存
街中に響く「パッカパッカ」の音。
実際に馬が観光客ではなく、現地人に対してもタクシーや荷物を運ぶ手段として利用されている。
車道を普通に走っており、交通渋滞の原因にもなっている。
モロッコには主に観光用で、セネガルでも似たような馬の利用は見られるが、日常生活に圧倒的に溶け込んでいるのはモーリタニアの馬で、どこかノスタルジックであった。
ウギアのデノミネーション
もともと1000ウギア≒300円だったのが、2018年から1000ウギア≒3000円になったのだ。
それに伴い、新紙幣が発行され、プラスチック製(ベトナムドンやシンガポールドルの材質)に変更となった。
これがなかなかややこしい。
お店の表示が旧紙幣の価格のままだったり、お釣りが旧紙幣で返ってくることもある。
幸いにも材質が違うので判断はつきやすいが…
詳しくはこちら
目的はインフレーションによって巨大化した単位を小さくするだけではなく、裏金の一掃等もあるらしい。
また、通常はデノミをする際は進級で通貨の名前を変えるらしいが、この国は変更がないのでややこしい。
まとめ
このモーリタニアでの滞在は短い時間であり、正直、他の国に比べて何か特別なことをしたわけではない。
しかし、なかなか日本では気には止めない国に足を踏み入れ、この国のことを知るのは貴重な時間であった。
ぜひ、モロッコやセネガル方面に来る方は、足を運んで見ても面白いかもしれない。
こういった砂漠地帯での生活は客観的にみれば大変である。
周辺の国々が発展していく中で、どのようなポジションを気付き、砂漠という土地柄に負けない(もしくは、生かした)都市開発などができるかが勝負かと思う。
まだまだ成長途中でこれからの国であると思うので、今後の経過や発展が楽しみである。