※この記事は筆者が大学生の時(2019年1月)に執筆したものであり、現在とは情報が異なる場合があります。
「アフリカだぞ」と意気込んでやって来たが、街の良さや過ごしやすさに、良い意味で拍子抜けしたモロッコ。
観光客数の割にwikpediaの情報が充実していなかったので、モロッコのことを幅広く、ザックリと理解できる記事を書いてみた。
モロッコの概要
人口は3600万人(カナダやウガンダに近い)で、国土は44万㎢(日本よりやや大きい)であり、人口密度は低い。
人口や国土に関しては、「西サハラ」を含むかどうかが問題にされるが、西サハラに関してはまた別の記事で紹介したい。
上にスペインがあり、船で入国することも可能であり、ヨーロッパからの航空券も安い(ドイツから来た人はベルリンから15€=2000円と言っていた)ため、外国人観光客はかなり多い。
日本との時差は8時間で、航空券代は往復15万円くらいかなと思う。
国土の多くは砂漠であり、移動中には砂漠の景色を堪能できる。
イスラム教の国であり、食生活や生活様式はアラビアの色が強い。
言語・食事・物価
言語は現地語のベルベル語と、アラビア語である。
西アフリカという地域の特性(旧フランスの植民地)もあり、英語よりフランス語を話せる人の方が多い。何回も「フランス語は話せるか?」と聞かれた。
観光地であれば英語も通じるので、特に心配はいらない。
食事は日本でも有名な「タジン鍋」がある。
地中海に面しているからか、オレンジやオリーブなどが充実している。
野菜も多く、長期旅人はここで栄養補給できそうだ。
特にマラケシュでは、搾りたてオレンジジュースやン屋のシュクークリームが4Dh(50円)であったりと安く楽しめる。他にもストリートフードも充実しており、食に困ることはない。
物価は都市や場所で大きく左右されるが、全体的に安いと思う。交通費は日本並み、宿代はアジアに比べると高いが日本より安く、食事やカフエなどは東南アジア並みである。
インフラの発展はアフリカ随一!?
僕が最もこの国で驚いたのは交通インフラである。
都市間や空港を結ぶ鉄道は便利で時刻通りであり、駅には電光掲示板で表示がある。チケットの購入もシンプルで分かりやすい。
駅の設備が整っていて、主要駅では日本よりも綺麗かもしれない。
カサブランカやラバトの市内は市電が走るため交通の便が良い。
観光の拠点となるマラケシュも公共バスでの移動手段が優れている。
1回の乗車で50円ほどであり、どの路線も混んでおり、市民の足となっているようだった。
また、都市間は旧国営のCTMや国営のsupratoursにて移動することができ、このバスの乗り心地も日本並みで非常に良い。主要幹線道路の整備も行き届いており、快適である。
インフラに関しては規模は違えど、タイやマレーシア並みの水準と言える。
観光が超しやすく、カップルや家族連れにもおすすめ!
青色の街・シャウエンやサハラ砂漠が代表格である。マラケシュ、ラバトの旧市街はそれぞれ世界遺産になっている。西アフリカ地域では唯一・地球の歩き方「モロッコ」が出版されており、観光の情報は多いので、海外旅行でも来やすい。
治安も安定している印象で、スリなどの軽犯罪も少なそうだ。
2018年12月下旬に北欧の女性が殺される事件が発生して話題となったが、彼女らは夜間に山の中でキャンプをしていたところで被害にあった。普通の観光をする分には心配はないが、キャンプを考えている人は、テントサイトの場所を考えた方が良いだろう。
新婚旅行や年末年始の休暇で渡航している日本人も多く、エジプトに並んで渡航しやすいアフリカの国と言える。
僕は今回はそれらの観光地への渡航はしなかったが、家族や友人と再来したい。
政治や国交
アラブ系には多い立憲君主制で、ここも国王の力が強そうだ。議会は二院制で衆議院は直接選挙、参議院は指名。
2006年までは徴兵制だったようだが、今は廃止されて志願制となっている。
フランスがモロッコの最大貿易国であり、スペインとの繋がりも強く、政治は対米政策を重視しているらしい。
モロッコ政府はEU入りの申請を行ったが却下されている。理由はモロッコはヨーロッパの国ではないという判断である。
また、西サハラ以南からヨーロッパに向けて向かう難民の通過点であり、陸路の国境はそういった難民との問題も抱えているようだ。
都市格差
都市部のインフラがここまで整っていると、途上国の場合、地方との格差がより大きくなっていくだろう。特に観光地とそうではない地域でも差が大きそうだ。
ネット等を見る限り識字率が50%程度で低い。特に農村部の女性の識字率が低いようだ。
教育システムの問題かと思ったが、聞いたところによると大学まで教育にほとんどお金がかからないらしい。
宗教や家庭の事情での要因が大きいのだろう。
そんなモロッコのこれからは?
経済成長も順調であり、2060年頃までは人口が増加していく見込みだ。(詳しくはこちら)
しばらくはこのまま経済成長をし続けると思うので、それを加速させることと、地方との格差是正がポイントになる。外交と教育がそれに大きく影響すると思う。
インフラに力を入れたこと、観光資源を有効活用している点はまさに効力を発揮している。これは引き続き伸ばしていくだろう。
人口が減少に転じる2060年までに自立した経済を確立することと、それに耐えうる社会保障、教育政策を今からどう用意できるかに注目だ。
EUと対米、アラブ諸国、アフリカ連合(2017年に33年ぶりに再加盟)などとバランスの良い外交をしつつ、中国やインドとの新興国との関係をどう気づくかも注視される。そして、この地域で複雑さを極めている、西サハラとの問題の解決も期待している。